いらずの教え子だ

 作戦もなく、 努力を払うこともなく、
 保護すべき対象の二人に 懐かれてしまった。

 桜子皇女は呑み込みが良く、 教材として用意した書物を読ませるだけで、
 とんとんと吸収していく 手間いらずの教え子だった。
 時折してくる質問も 的確である。
 たまに、 真咲にも答えられないような鋭い質問もしてくる脫毛優惠
 飛丸の教育係をしていて良かったと思うのは そういう時である。
「よいところに気がつきました。

 「せっかくですから、 すぐに答えを聞くのではなく、
 ご自分で考えてみましょう。 その方が身につきます」
 出来の悪い先生の 必殺技である。
「はい。 そうします。 深いわぁ」
 桜子は勝手に考え、 図書寮(ずしょりょう)に出かけて調べる。
 そこが 飛丸とは大いに違うところである。
 彼の場合は 結局分らないまま、
 時間稼ぎをしている間に 真咲がなんとかする羽目になる。
 教える方が なんぼか大変だ。

「解りました。 答えは一つとは限らないのですね臍帶血 作用
 大切なことを覚えました。 真咲先生って すごいです」
 まことにもって、 手間いらずの優秀な教え子である。
 何もしていないのに、 尊敬までされてしまった。

「真咲。 東の庭に行くぞ」
 幸真千皇子も、 自分の守役をまいては 一緒に居たがる。
 虫や蛙や蜥蜴(とかげ)、 蛇さえ平気な真咲が いたく気に入ったらしい。
 他の女官では、 すぐに悲鳴をあげられて、 全く話にならないのだとか靈恩教會
 二人とも 真咲にべったりである。
 第一段階は成功だ。